コラム-「古布の楽しみと扱い」

◆古布の特徴  

 古布とは、長い時の流れと、使用した人びとの手によって、独特の趣が加えられた布といえます。ちょうど「時代もののお茶碗をめでる」のと同じ感覚で楽しむことができます。たとえば「見て、触れて」わかる特徴には下記のようなものがあります。
 
★優しい手ざわり 
★さらりとしたこだわりのない風あい 
★こなれた深みがある自然な色あい


 また、見なれないとわかりにくいのですが、次のような特徴も、古布では豊かな個性のあらわれとして注目されています。

★自然界の陰影のような、おだやかなカスレやムラ、
★単調さが抑えられた退色  
★自然をそのまま写したようなユガミ、ヨジレ
★時の流れを感じさせるシワや、
 地厚の変化、糸目の向きなどのクセ 




◆古布の仕立てとは
 
 古布の特徴とは、いいかえれば、長く使われてきた間についたクセや個性、物理的な条件によって生まれた自然な姿ともいえます。原材料や、織染の技の持ち味が、異なったかたちであられてきて、それが特徴となっている場合もあります。
  そのようなことに思いを馳せると、ひときわ感慨深いものですが、仕立てには少々配慮が必要になります。

  たとえば古布ならではのシワは、アイロンして引っ張って伸ばすと、趣きを損ねたり裂地を傷めたりすることがあります。なんとかシワを伸ばしてみても、時間がたつと戻ってしまうことさえあります。
 また縦横の布目をきちっと通してまっすぐにすると、かえって全体がツレたり、裂地の強度がもたないことがあります。

 つまり、無理に新品と同じ状態を求めると、古布らしさを失うことになりかねないのです。

★古布の仕立てのポイントは、かたちを整えながらも
 その古布ならではのクセや個性などは活かすこと
 

 現代には、複雑にヨレたようなプリーツ加工や、おろしたての麻の服を着たときにできるシワを、気軽に楽しむおしゃれがありますね。
  いっぽう古布のシワやヨレ、色合いなどは、人間なら、長い経験を積んでいい表情となった方の顔の肌あいのようなもの。なくてはならない陰影を、慈しむようにそっと楽しむということになります。


 
◆古布でできたお品物の扱い方
 
 手荒いことをさけて、「時代もののお茶碗」に接するのと同じ感覚で扱えばいいでしょう。

一例

◆マグネット式の留め具の数寄屋袋なら
 留め具近くに手をあて、裂地にムリな力がかからないようにして開けます。裂地のみを強く引っ張っぱるのは厳禁です

◆袱紗挟みなら
 バッグや収納場所などへしまう際には、ものの間に無理に押し込んだりしないようにします。裂地を強くこするのは厳禁です。

 優しく、そっとおだやかに・・このように扱っていると、自分の気持ちまでが優しくなり、落ち着きがましてきます。このような影響を与えてくれることも、古布の魅力かもしれませんね。ぜひ実際にお手にとり、さらにはご使用になって、新しいものにはない趣をお確かめください。 


 











ある時は
 
歳月を経て生きる

古布の声を

聞きながら

ある時は
 
古布のもつ優しさに

いやされながら

ひと碗のお茶を
  


 
 

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