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光房コラム 2006年9月6日(水)
 


■光房日記-桔梗(ききょう)
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桔梗の季節

桔梗は謎の多い花です。 その一つは「桔梗の季節」。
庭などでは主に6月中旬から8月の夏に咲きます。 
ではなぜ秋の七草?

また、「夏と秋の花」にする例もあります。
桔梗は8月12日
、9月2日または12日の誕生花。
茶花では
7月の草ものすが、  
七夕の茶席や秋の茶席に使う
「夏秋の風炉の花」です。

さて「桔梗の実際の季節」は?  いよいよ不思議です。
そこで調べてわかったのは「厳しい現実」でした。


「桔梗の謎」から「謎の桔梗」へ

6月中旬から8月に咲くのは主に栽培種です。
「季節先取りニーズに合わせて開発した結果

桔梗が秋より前に咲く という分析がありました。
ただし栽培種
の返り花は10月頃

「やはり本当は秋の花?」という想像が働きます。

その通 り、「桔梗の野生種」は初秋が開花期。
開花期がさまざまに言われる背景には、 
栽培種と野生種による違いがありそうです。

野生種の桔梗は
8月〜9月に、
日当たりの良い乾き気味の草地や原野に咲きます。
しかし悲しいことに身近な人から、

「40年ほど前は
故郷の庭先にもよく咲いていたが、
最近は見かけない」と
聞きました。

それもそのはず、桔梗は絶滅危惧種として
レッドリスト(環境庁,1997)に掲載されています。
百年後の絶滅確率は99%。 
100%絶滅としている情報すらあります。

百年後の桔梗は、目にできない謎の花かもしれません。


「野にあるように…」のこころ

秋の七草では藤袴(フジバカマ)
も絶滅危惧種です。
こんな実態がわかると、
茶席の 花がさらに愛おしく思えてきませんか。

利休の「花は野にあるように…」とは、
自然の命を思いやることでもあります。

どうか100年後に

「昔々、野にあったように」と
言い換えずにすみますように!!

    
取り合わせ例
桔梗を花生に入れたら
蓋置はトンボ
日本の初秋を心ゆくまで

染付蜻蛉蓋置 4,620 円(税込) 
申込番号 003 - 259

高野昭阿弥作

*記事作成時のお品


※茶花の該当月と名称は諸説ある場合があります。
このコラムでは主に、河原書店編『茶人手帳』の
「茶花十二ヶ月」を参考にしています。




1 咲きはじめ 
花びらはまだすぼまっている。
中央の黄のおしべは
他の花を結実させるために
成熟していく。
雄花の時。


桔梗
(Balloon flower)
*
めしべよりおしべが先に成熟する
「おしべ先熟(せんじゅく)」で
自家受粉を防止し
生命の多様性を保つ。
写真1,2,3は咲いていく順。


2 大きく開く 
成熟したおしべが離れ
薄青のめしべの顔が少しのぞく。
まだ雄花の状態。
(*本来は横向きに咲く)


3 変身へ 
おしべは開ききると
花びらについてしまう。
そうして
薄青のめしべの先が
五つに裂けると
雄花から雌花へと変わる。
写真はその直前



      
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